THE W 2025を見て、北海道マジシャンの僕が最初に感じた違和感
- akkeyproject
- 34 分前
- 読了時間: 4分

THE W 2025を、正直な気持ちで見ていた。お笑いは昔から本当に好きで、だからこそ今回は「楽しむ」というより**「舞台に立つ人間として」**画面を見つめていた。
そして、最初に感じたのはこれだった。
「笑うポイントを、探しながら見なきゃいけないネタが多い」
今のフレーズか?次の展開か?どこかに面白いところはないか?
気づいたら、自分が“探す側”に回ってしまっていた。
これは、舞台に立つ人間として見るとかなり厳しい状態だと思う。
笑いは、本来「探すもの」じゃない。勝手に出てくるものであってほしい。
これはお笑いだけじゃない。北海道マジシャンとして、マジックショーを作っている僕自身にも強烈に突き刺さる感覚だった。
本当に「こちらを笑わせてくれた」と感じた2組
そんな中で、「ちゃんと笑わせられた」と感じたのは正直この2組だけだった。
ニッチェ
紺野ぶるまさん
もちろん、好みの問題もある。でもこの2組のネタは、笑いを探させなかった。
気づいたら笑っていた。構えずに、自然に。
これはもう、技術以前に「才能」と呼ばれる領域だと思う。
「お前何様だよ」と思う人もいるかもしれない。でも、舞台人として、“自然に笑わせられない”というのは致命的だ。
北海道マジシャンとして活動している僕も、常に同じ恐怖と向き合っている。
THE Wで勝つために必要だと感じた4つの要素
今回のTHE Wを通して、この大会は次の4つで構成されていると感じた。
設定の面白さ
フレーズの面白さ
熱量の加減
演技力の上手さ
全部が完璧である必要はない。でも、1つが欠けるなら、残り3つが圧倒的であること。
逆に言えば、全部が平均点だと、何も残らない。
これはマジックも同じだ。
北海道マジシャンとして、何百本もショーをやってきた中で痛感している。
個人的ベストネタ順位(あくまで主観)
あくまで個人的な感想として、今回印象に残ったネタはこの順番だった。
1位:紺野ぶるま(落語)2位:ニッチェ(謝罪)3位:とんでもあや
特に強烈だったのは、紺野ぶるまさんの2本目に出てきた、
「この人、本当は面白い人なのでは?」
という一言。
ここが、今回のTHE Wで一番キレていた笑いだと思う。
短くて、鋭くて、観客の思考を一瞬でひっくり返した。
「ここ、もっとウケていいはずだ」という違和感
正直、「ここはもっとウケていいだろう」というフレーズが全体的にあまりウケていなかった印象がある。
理由は明確だ。
THE Wは、審査員が同業者という特殊な大会だから。
簡単に点を取れる笑いを増やすのか
審査員が唸るテクニックを見せに行くのか
この選択が、とてつもなく難しい。
そしてこれは、マジックの世界でもまったく同じだ。
一般のお客さんにウケるマジックと、同業者が評価するマジックは違う。
北海道マジシャンとして活動していると、このバランスに何度も悩まされる。
ネタ後の「20秒」を甘く見てはいけない
今回、もう一つどうしても気になったのがネタ終了後のMCとのトーク。
正直、「これ、準備できたはずだよな?」と感じる芸人が何人かいた。
番組構成はこうだ。
ネタ:約4分
MCトーク:約20秒
でも実は、この20秒の方が戦いやすい。
ここで印象を持っていかれるかどうかで、ネタの見え方すら変わる。
この20秒を「オマケ」と思うか、「もう1ネタ」と思えるか。
ここに、舞台人としての差がはっきり出る。
これは北海道マジシャンとして、僕自身も強く意識している部分だ。
北海道マジシャンとして、他人事には見えなかった
偉そうなことをたくさん書いたけど、僕自身も完璧な側の人間ではない。
ローカル局が中心だけど、テレビ番組にも少しずつ出させてもらってきた。
だからこそ、テレビという場所の怖さも知っている。
一瞬で印象が決まる世界。4分のネタだけじゃない。
立ち姿
表情
声のトーン
MCに振られた一言
そこで「また見たい人」になるか、「一度で終わる人」になるかが決まる。
笑わせるのは難しい。でも、笑わせられないのはもっと苦しい
THE W 2025を見て、他人事として批評しているつもりは一切ない。
むしろ、
自分があの場所に立ったらどう見えるか
同業者にどう評価されるか
そんなことをずっと考えながら見ていた。
笑わせるのは難しい。でも、笑わせられないのはもっと苦しい。
だからこそ、
設定
フレーズ
熱量
演技力
そして、ネタ後の20秒
全部含めて「芸」なんだと思う。
北海道マジシャンとして、僕もまだまだ道の途中だ。
いつか、探さなくても自然に笑ってもらえる。同業者から見ても「ちゃんと面白い」と思われる。
そんな場所に立てる人間になりたい。
THE W 2025は、僕にとっても自分の立ち位置を突きつけられる大会だった。





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