top of page
検索

18歳で上京。闇カジノにスカウトされたマジシャンが“プロ”を選ぶまでの話/北海道 マジシャンアッキー

  • akkeyproject
  • 9月4日
  • 読了時間: 4分
ポーカーチップを使ったマジックをしている北海道札幌のプロマジシャンアッキー

■ 北海道から東京へ。「マジシャンとして生きたい」と思った18歳の決断

僕が北海道から東京に出てきたのは、18歳のとき。「絶対マジシャンとして食っていく」──その一心で、荷物をまとめて札幌を後にしました。

でも、現実は甘くなかった。

マジックの仕事なんてゼロ。持ってるのは夢と少しの技術と、生活費ギリギリのバイト代だけ。正直、バイト三昧の毎日で「東京に来た意味あるのか?」って自問する日々でした。それでも諦めたくなかった。どこかに、自分のチャンスがあると信じてた。


■ 社会との唯一の接点は“mixi”だった

当時、SNSといえばmixi。若い人は知らないかもしれないけど、Facebookより前、日本最大のSNSといえばコレでした。

mixiには「コミュニティ」という、今でいうFacebookグループみたいな機能があって、・「ジャニーズ好き集まれ」・「お笑い芸人大好き」・「深夜ラーメン部」みたいな、ありとあらゆるサークルがありました。

その中に僕が参加していたのが、「パフォーマー仕事情報」というコミュニティ。マジシャン、ダンサー、クラウン、大道芸人など、パフォーマーに仕事を依頼したい人と、やりたい人をつなぐ掲示板のような場所でした。

横浜のショーパブ「笑龍門」がオープンした時も、そこから演者募集していたのを覚えています。


■ 「マジシャン募集」の投稿。指定されたのは、とある“バー”

ある日、コミュニティ内で見つけた「マジシャン募集」のスレッド。内容はシンプルで、「トランプマジックが得意な方、報酬あり。面談希望」とだけ書かれていました。

ちょうど僕は何かきっかけが欲しかった時期。すぐに連絡を取り、指定された場所へ向かいました。

場所は都内某所にある、ごく普通のバーのような外観。

でも中に入った瞬間、空気が違った。

そこは、**完全に“闇カジノ”**でした。


■ 面接内容:「エースを出してみろ」「カードをコントロールできるか?」

今でこそ日本にもポーカー文化が少しずつ根付いてきましたが、当時流行っていたのはブラックジャックとバカラ。面接と称して出された課題は、・「カードをコントロールできるか?」・「今このシャッフルからエースを出せるか?」

つまり、マジックの“スライト・オブ・ハンド”の技術で、ゲームの勝敗に影響を与えられるか──という内容。

テクニックを見せると、相手はめちゃくちゃ驚いていました。「本当にできるんだ」と。

正直、その時ちょっと誇らしかったのを覚えています。でも、僕はその店に一度も戻ることはありませんでした


■ 「これは違う」──自分の中の何かが止めた

だって、どう考えてもおかしいんですよ。その技術がもし“バレた”ら、どんなトラブルになるか想像もできなかったししたく無かった、そもそもそれは僕が目指した**“人を幸せにするマジック”じゃない**と思ったんです。

自分の手が、イカサマの道具になるのは絶対に嫌だった。

店の名前は今も言いません。なぜなら、もしかしたら今はちゃんとしたお店になっているかもしれないし、当時の自分が一方的に感じた“闇”だった可能性もあるからです。(お店が気になる方は僕に会った時に聞いてください)

でも間違いなく、あの時の決断が僕の人生を大きく変えたことは確かです。


■ 若いマジシャンへ伝えたいこと

今もたくさんの若手マジシャンたちが、自分の夢を叶えるために挑戦していると思います。そして、きっと僕のように“ギリギリの選択肢”を突きつけられる瞬間があるかもしれません。

そのとき、どうか一歩立ち止まって考えてください。

「それは自分が本当にやりたいことか」「誰かを幸せにする技術として、自分のマジックを使っているか」

道を間違えてしまえば、一瞬で信頼はなくなるし、何より“自分自身の価値”を失ってしまう。

僕は、北海道出身のプロマジシャンとして、正攻法でここまで来たことを誇りに思ってます。

楽な道もある。近道もある。でも、本当に大事なのは、どんなマジックを“誰のために”使うかだと思うんです。


■ まとめ:ギリギリの人生がくれた“プロマジシャン”という道

あの時、もし闇カジノのディーラーになっていたら。きっと今の僕はいないでしょう。

でも、あの経験があったからこそ、今のマジックに対する覚悟も、真剣さも生まれた。僕にとってあれは、“プロになる”ための通過儀礼だったのかもしれません。

北海道の地元から飛び出して、苦しいことも怖いこともたくさんあったけど──僕はマジックで、誰かを笑顔にする今の人生が大好きです。

 
 
 

コメント


bottom of page